スタジオ宙

長野県小布施町 まちづくり研究所シンポジウムに招待参加

— Yumi Kori was invited at Symposium by Machizukuri Institute at Obuse Historical Town Japan —

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先日「東京理科大学・小布施町まちづくり研究所」シンポジウムが行われ、郡 裕美がゲストコメンテーターとして参加しました。長野駅から長野電鉄に乗り継いで20分。小布施は、昔ながらの町並みの残る美しい町でした。

タイトルは、『道、水路、そして家 ~世界に住まい、たがやす~』

会場では、小布施町の町長はじめ地元の方々、全国から駆けつけた研究者を前に、研究成果の発表、提案が次々とされ、すばらしいシンポジウムだった。たとえば、町の中心を走る国道403号の現状を調べ、民家の庭を取り込む形で緩やかに歩道を拡幅する提案。町を縦横無尽に流れる水路の昔の使われ方を調査し、町の思い出と奥行きを掘り起こす作業。それに関連して、伝統的な水車の仕組みを使った芋洗い器を設計。地元の建具屋さんとの協力で中学生と、水路で実演するワークショップを行い伝統を未来につなげていく試み。

また、現在は使われていない蚕室の設計に関する調査も大変おもしろかった。伝統的な蚕室はパッシブデザインの手法が駆使された建物で、私たち現代の設計者が学ぶべき多くの技術が隠されていると思った。また、住宅街の照明計画についての調査研究も、個人邸の設計に町並みを考慮した視点の必要を示唆する興味深い研究であった。

さらに、オーストリアや萩の伝統的建造物群保存地区での調査研究など、他の事例から学ぶという研究。特に、オーストリアでの事業の成功の影にある、建築設計者のプロジェクトの関わり方には納得させられた。日本でも、歴史的な町並みの修景や再生には、必ず建築設計者が関わるような仕組み作りができないものだろうか。

第2部では、佐久市、木曽町、佐久穂町など長野県の他地域の建築士会の人々が郷土の歴史や建物を紹介しながら、抱えている問題点について語り、みんなでそれについて討論した。昔ながらの旅館での風情VS便利さ、空家問題、伝統と町づくり、語れないほど盛りだくさんの問題提起がされた。

埋もれてしまっている伝統的な空間や暮らしの知恵を、調査研究で掘り起こし、現代の問題とすりあわせ、未来に向けての提案をする。大学と地域、研究と実践が、美しい形ではたらいている『東京理科大・小布施町づくり研究所』に心からエールを送りたいと思った。東京理科大の研究所の方々、所長の川向正人先生。またコメンテーターの古谷誠章先生、ジョージ国広先生、後藤和子先生、お疲れ様でした。

 

投稿者:Yumi Kori |  お知らせ News, 日常風景 Diary |  記事本文