今回の建物は、近所にお住まいの建主のセカンドハウスとして、
室内に愛車を乗り入れて、それを眺めながらくつろげること、
またテラス部分に2台の車が停められることが設計条件でしたので、
平面計画は、まず車の軌跡や配置を考え、そこにキッチンや水回りという
生活に必要な機能を入れるということで決定しました。
そして、そこにどうやって空間の奥行きと流れを作るのかを考えたときに、
起伏に富んだ天井を作ることを思いつきました。
今回は、コンクリートを打設したそのままのプロセスを「景色」として残すことを
考え、補修はいっさいしていません。
また、現場のサポートの跡の穴を埋めたりせずに、そこにベアリングの球を
いれることで、そこに景色をうつり困るという遊びもしました。
一瞬ランダムに見える配置ですが、それらには作ったプロセスの歴史が刻み込まれ、
まるで銀河に浮かぶ星のように見えます。
また、車が美しく見えるためには、四角い箱に車を閉じ込めるのではなく、
空間内に様々なベクトルを感じられたらよいのではと思い、天井の起伏の稜線を
様々な角度に振り、空間の流れを作り出すことを考えました。
つまりこれは、ガレージハウスというのが、相応しいのかもしれません。
施主が敷地を購入したのも、公園の景色を楽しむということではなく、
道路が真っ直ぐで車が入れやすいということが理由だったようです。
ただ、実際、建物ができてみると、ピアノを入れたいとか、友人を招いて
ゆっくりしたいとか、使い方を色々考え始められているようです。
今回、建物が完成してみて発見したこととしては、車のスケールや軌跡を
中心にして設計せざるをなかったため、人間のスケールを中心に設計する
住宅建築とは少し違う空間が生まれ、かえってそこに自由な余白が生まれたように
感じました。
新築でありながら、これはコンバージョン建築で感じられるような機能と
空間のズレが生み出す開放感に似ているような気もしました。
■デザイン検討のための模型たち
■完成予想模型:公園より建物を見る
■完成予想模型:上空より建物を見る
投稿者:Yumi Kori |
建物の完成 Project Completion |
記事本文
コンクリート打ち前の型枠と配筋の検査に行きました。
武蔵野のはなれ モノクロームは、
平行と直角のない建物
模型やコンピューターで何度も検討した形と角度、
現実に見ると迫力がすごい。
屋根は地形の盛り上がりに見え、
思わず登りたくなる。
屋根面を支えるための型枠支保工
地形を霜柱のように支える
型枠の隙間から差す現場の光が眩しい。
投稿者:Yumi Kori |
工事の様子 Construction Site Diary |
記事本文
建主は敬虔なクリスチャン、
森の中の木漏れ日を感じながら、
静けさの中にゆったりと時間が流れる
祈りの空間を作りたいと思い、
十字架の形のプランを作ってみました。
高低差をうまく使って二つの建物を絡み合わせ
スキップフロアを作る案です。
投稿者:Yumi Kori |
設計のプロセス Design Process |
記事本文
コンクリート造の小さなスタジオ型住宅の実施設計が完了しました。
私たちが以前、武蔵野に設計した住宅の「はなれ」として使われる予定で、コンクリート以外の素材を使わないミニマルなデザインであることから「モノクロム」という仮称をつけました。
今回の敷地は公園隣接。公園の風景に溶け込む立体アート作品のような存在になったらいいなあと思い設計しました。
デザイン検討を重ねてデザインを進めるプロセスは、こちらをご覧ください。
この建物は、XYZ方向に自由に線と面が折れた多面体で、外観は見る方向によって全く異なり、室内空間も変化に富んでいます。
まずは外観写真をお披露目します。
前庭に面した大開口は、パンチングメタル貼りの3枚ガラス引戸。扉を開け放てば、写真のように前庭とつなげて使えます。
隣地側の壁面には窓らしくない不定形の開口があり、、、
敷地の角から建物を少し控え、2枚の壁の「隙間」としての窓があります。
そして北面は全く開口のない壁。
玄関から入って空間の一番奥にはもう一つの「隙間」のような窓。公園に面するこの窓からは、緑が垣間見え、採光や通風にも有効です。
山と谷を繰り返す地形のような屋根形状は内部空間と呼応していて、空間の流れとシークエンスを検討する中でこの形が決まりました。人の動線と視線の流れに従って、次々と変化のある空間ボリュームが立ち現れます。
壁の隙間から入る光が、室内の折れ曲がった天井や壁面にどのように反射し、
また、それらが時間の移ろいと共に変化していくのか、
実物が出来上がるのが楽しみです。
多面体、光、反射、隙間、亀裂など、さまざまなキーワードを重ねながら、
都市の中に自由に広がるリエーティブ空間を提案するチャレンジです。
プロジェクトはこれより施工に入ります。その様子もアップしていきますので、楽しみにしていてください!
投稿者:admin |
設計のプロセス Design Process |
記事本文
マンションの最上階の天井を開けてみると、天井は高くて家形の屋根に沿って傾斜していた!
(昔の建物だから、マンションでも家っぽいデザインにするために最上階は傾斜屋根にしていたのかな?)
そこで、天井に杉板を貼ることに。
そして、間仕切りは全て取り払ってニューヨークロフト風に。
都市の真ん中に、不思議な小屋空間が出現しました!
リノベーションの工事を進めるプロセスは、こちらをご覧ください。
写真に写っている家具を組み立てた学生ワークショップの様子は、こちらをご覧ください。
投稿者:admin |
建物の完成 Project Completion, 設計のプロセス Design Process |
記事本文
新大阪で進行中のマンションのリノベ現場にて、大阪工業大学の学生たちと家具作りのワークショップを行いました!
2日間のワークショップで作ったのは、アイランドカウンターとダイニングテーブル。
木材をやするところから始まりました。
郡が工具の使い方を実践してから、学生にバトンタッチ。
工具に触れるのが初めてという学生。初めは緊張していても、慣れていくうちに楽しくなって、自分たちでいろんな工夫をしてくれました。
次に、ドリルを使って木材に穴を開けていきました。設計図を読みながら、ひとつずつ正確に。
組み立て方も大事。完成形を思い浮かべながら、組み立てていきます。
組み上がった家具を、最後に塗装していきます。せっかく上手に組み立てられたから、綺麗に塗りあげたい。すごい集中力でした。
ワークショップを終えて、家具は無事完成!!
とても綺麗な仕上がりにできました。
参加してくれた学生の皆さん、お疲れ様でした。ものがどうやって作られているのかを肌身で学んだ経験は、これからのデザインの勉強にも生きていくと思います。
投稿者:admin |
工事の様子 Construction Site Diary, 建物の完成 Project Completion |
記事本文
さまざまな大きさや色の箱がランダムに置かれているだけに見える舞台セット。
でも実は、役者がその箱に座ったり、登ったり、その上で立ち止まったり、あるいは、2つの箱の間を通り抜けたりするたびに、新しい場が生まれるように感じるよう、それら箱は、注意深く考えた。
デザインのプロセスは、上のリンクをご覧ください。
例えば2人の役者が、箱のこちら側と向こう側にいると、2つの世界が舞台の上に現れる。
照明が変わると箱のこちら側と向こう側の世界に、舞台が別れる。
これは、昨年、小劇場「新宿タイニイアリス」の創始者で、オーナーである西村博子を追悼して行われた公演。叔母の葬式で出会った劇団アランサムセの方々から舞台美術の依頼を受け、叔母がひいきにしていた劇団のステージを一緒に作れるなんて、なんてラッキーと思い、私は二つ返事で引き受けたというのがことの始まり。
西村博子は私の敬愛する叔母。幼少の頃から型破りの大人が身近にいることで、私は自分の中にいつも未知の可能性を信じられた。久しぶりに挑戦した舞台美術。博子さんが天国から見てくれているといいな。
投稿者:Yumi Kori |
美術の仕事 Art, Stage Design |
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