10月20日から東京・高田馬場ラビネスト劇場で始まる演劇公演の舞台美術を担当しています。舞台の模型やCGを作りながら様々な検討を重ねています。
舞台は廃墟を思わせるシーンから始まるという脚本。
そこで、コーラケースやありあわせの箱を積み上げるという
シンプルな舞台セットを提案しました。
最初、観客には、単なる廃材置き場にしか思えないのに、
そこに役者が登場し、役者が動き回ることで、
コーラ瓶ケースがステージに見え、
積み上げられた箱の間が門に見え、
その隙間に道が生まれ、
影の向こうに別の場所が見え隠れし
様々な意味や関係性が生まれては消え、
空間や時間の重層性が感じられるといいなと思いました。
朝鮮半島を南北に分断する38度線がテーマの今回の舞台、
箱の隙間にできた道をあえて視覚化することを提案、
すると、ある時は2つの世界を分断する境界線となり、
ある時はこちらと向こうをつなぐ道にみえ、
そしてある時は、それが南北をまたがって流れるイムジン川に見え、
ある時は舞台上のもう一つのステージに見える、、、
役者の動きや光の変化で、
新しい関係性を見出すことを試みれたらいいなと思っています。
今はまだ、試作の段階で、
まだ、これから検討を重ねていき、公演日に向けて更にデザインを発展させていきたいと思います。
お時間、許せば、是非、おいでください。
劇団アランサムセ 結成35周年公演 「노고지리(ノゴジリ)~つばさ~」
◆公演日時:2023年10月20日(金)~22日(日)
20日(金) 19:30~
21日(土) 14:00~ 19:30~
22日(日) 14:00~
◆場所:高田馬場ラビネスト(東京都新宿区西早稲田3-27-4)
◆チケット:当日4,000円 前売3,500円 学割3,000円(全席自由)
◆予約・問い合わせ
aransamse@gmail.com
原作:李仁石 ◆脚色・脚本:金恵玲 ◆演出:金正浩 ◆出演:金恵玲 金順香 金正浩(劇団アランサムセ) 経塚裕弘 盧華順 ※電話番号はフライヤーをご覧ください。
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今秋 10月20日(金)より開催される《箕面の森アートウォーク2023》に参加します。
箕面は、大阪梅田から電車で30分とは思えない自然あふれる場所。阪急箕面駅から箕面大滝へと続く滝道が今回の芸術祭のサイトで、そこに多数の現代アーティストたちがそれぞれ作品を展示します。
今回、郡裕美が敷地として選んだのは、箕面山瀧安寺境内にある庫裏(くり)跡地。庫裏は、2018年に台風被害を受けて大破し、現在は空き地になっています。
ここに「EVOCATION」というサイトスペシフィックな作品を制作することにしました。
「EVOCATION」というのは「想起」という意味。
庫裏の、失われた記憶をカタチにする作品です。
庫裏の跡地には
光と風がゆらめき
かまどの炎が煌めき
失われた記憶が見え隠れする。
庫裏は寺の台所
ここで米が炊かれ、
行者に食が施され、
修験道を支えてきた。
かつて大地と空をつないでいた
煙抜きの越屋根の場所に
白飯のような玉石を並べてみれば
記憶の時間へ旅できるだろうか
※ 芸術祭への出展に伴い、郡が教鞭をとる大阪工業大学空間デザイン学科の郡研究室が中心となって、10月13日作品制作に伴う建築ワークショップを行います。詳細は《こちら》.
さて、今回のアートプロジェクトを想起した背景を少し、紹介します。
《瀧安寺》は、658年に修験道を創始したとされる役行者が箕面滝で修行をし、滝のそばに自ら弁財天の像を祭祀して箕面寺(のちの瀧安寺)と称したことを起源とする。山岳の道場として多くの修験者を受け入れることで発展し、現在に至る。今も多くの修験者がここを訪れる。
瀧安寺 の客殿と庫裏跡地を本堂側から箕面川ごしに見る。
台風被害前の庫裏の外観写真
台風被害前の庫裏の鳥瞰写真。(客殿につながって庫裡がある、かまどの煙抜きの為の越屋根が見える)
その際、お寺の台所として瀧安寺の重要な役割を果たしていたのが庫裏である。外観を特徴づけている越屋根(屋根から飛び出た小屋)の下には元々大きなかまどがあり、そこで日夜奉仕者の方々が煮炊きをして、食べ物を施すことによって修験者を支えてきた。しかし2018年に発生した台風21号によって倒れたケヤキの巨木が庫裏に直撃したことで、庫裏の大屋根が陥没し、建物は大破する。
台風被害後(大破した庫裏の撤去工事中)鳥瞰写真
庫裏の跡地が空き地になっている現在の鳥瞰写真
古来から食を施して修験者を支えるという重要な役割を担っていた庫裏。
その記憶を頼りに、庫裏の跡地にサイトスペシフィックな作品を作る。
江戸時代に描かれた箕面瀧安寺の鳥瞰図 『摂津名所図会』
失われた庫裡の煙抜きの越屋根に思いを馳せ、記憶のカタチを想起する。
《箕面の森アートウォーク2023》
会期:2023年10月20日(金)〜11月3日(金)
時間:10:00〜17:00
会場:箕面山 瀧安寺 / 聖天宮 西江寺 / 箕面大滝前 / 梅屋敷 / 琴の家
※郡裕美の作品「EVOCATION」は箕面山 瀧安寺が会場です。
最寄り駅:阪急箕面駅 (梅田駅より阪急電車で30分)
※瀧安寺は箕面駅より徒歩15分
右は箕面大滝の写真です。秋の美しい箕面の自然を楽しむついでに是非おいでください!
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2018年の台風で失われた箕面山 瀧安寺の庫裏(くり)の、
建築の記憶をカタチにするインスタレーション作品を作ります。
これに合わせ、大阪工業大学空間デザイン学科の郡裕美研究室が、
「失われた記憶をカタチにする」建築ワークショップを行います。
空間アートや建築に興味がある皆さん、一緒にアート制作を楽しんでみませんか??
年齢不問、未経験大歓迎です。多くの方々参加をお待ちしています。
ワークショップの詳細・参加申し込みは〈こちら〉から!
建築のプロに指導してもらいながら、実物サイズの建築を建てるワークショップです。
土を掘って柱を建てる。
木を組んで小屋を作る。
壁を作って空間を生み出す。
石をおいて領域を作る。
建築を学生にとっては、授業では学べない建築のリアルに触れて、
設計力、デザイン力を伸ばす貴重な機会になるはずです。
ぜひ参加ください!
本作品は芸術祭 「箕面の森アートウォーク2023」の公式参加作品です。
(会期:10/20(金)〜11/3(金) 時間:10:00〜17:00 )
今回作る予定の作品の詳細については〈こちら〉で紹介しています。
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現在、スタジオ宙では愛知県常滑市にある古民家のリノベーションに取り組んでいます。
先月に行った実測調査では、初の試みとしてiPadによる記録の効率化を計りました。
具体的には、測定した寸法を、即座にiPadで撮影した写真に書き込んでいます。
また、実測と並行してRicoh Thetaという特殊なカメラを使い、360度全方向の撮影を行なっているため、部屋の隅々まで漏れなく確認することができます。
これらの工夫によって実測調査の取りこぼしを未然に防ぐことができ、これまで以上に既存建物の理解を深めることができるようになったと思います。
実測調査で得た情報を元に、大きなポテンシャルをもったこの古民家をどう改修していくか、楽しみです。
余談ですが、常滑は焼物が有名で、路地が焼き物で埋め尽くされていたことが興味深かったです。皆様もぜひ訪れて見てはいかがでしょうか。
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7月19日に船場エクセルビル2階にて開催されました、特別レクチャー&懇親会『When Architecture Meets Art』。
多くの方々が参加してくださりレクチャー、懇親会共に大盛況でした。とても意義深い時間を過ごすことができたと感じています。今回はそんな当日の様子を振り返っていきます。
まずは長澤伸穂氏による特別レクチャー。長澤さん自身がこれまで世界各地で制作してきたアート作品を振り返りながら、作品が生まれるまでのプロセスについて説明をしていただきました。
例として挙げられた作品の数々は、駅舎や大学、大型倉庫、湾岸都市部など、様々な地域の様々な用途の建物との対話の中で生み出されていて、それぞれの作品が土地の文化や記憶、コミュニティに答えるものでした。
「アートをパブリックの中に置くのではなくて、建築やランドスケープの中に新しいビジョンを与えて、場を公共の空間にすることがパブリックアートだと考えている。」という、長澤氏によるレクチャー終盤のコメントがとても印象深かったです。
その後の質疑応答では長澤さんと参加者の間で多くの意見が飛び交い、議論が白熱しました。その熱を帯びたまま、舞台は同ビルの1階、懇親会会場『反重力 ナカセンバカフェ』へと移っていきます。
懇親会では、飲み物と軽食を片手に、様々な世代やコミュニティ同士で交流、意見交換が行われ、とても楽しい時間でした。
ちなみにスタジオ宙はキッチンにてオリジナルのスイカカクテルとスイカジュースを振る舞っていました。スイカを丸ごと使った夏らしい一品となっています。
以上、『When Architecture Meets Art』でした。
このレクチャー、懇親会が、芸術表現のプラットフォームとしての建築デザインの可能性、またはコロナ後に求められる新しい環境、新しい豊かさについて考えるきっかけの一つとなることを願います。
長澤さん、参加していただいた皆さま、ありがとうございました。
主催:大阪工業大学 郡 裕美 研究室
特別レクチャー会場提供:辰野株式会社
運営協力:株式会社 スタジオ宙
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2023年7月25日、1000年以上続く日本三大祭りの一つ天神祭が、4年ぶりに行われました。私たちが設計させていただいたテラスかんなん(菅南福祉会館)が、大阪天満宮のお膝元、鳳神輿の拠点として、大活躍しました。天満宮の参道が大川に突き当たる天神橋のたもとにあるここは、陸渡御と船渡御の出会う場所。公園側には大きな垂れ幕がかけられていました。
門をテーマにしたデザインにしたことが、地域の人に通じたのか、お祭りの時は、陸と海を結ぶ門として使われていました。設計者としては大変嬉しい使われ方でした!
参考までに、竣工時のテラスかんなんの夜景をご覧ください。
「テラスかんなん」の紹介ページはこちら ←
https://www.studio-myu.com/architecture/archdeta/kannan.html
投稿者:Yumi Kori |
お知らせ News, 日常風景 Diary |
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天井を思い切って剥がして見ると、最上階のため天井が傾斜になっていて、天井高が3.5mごえです。知らずに暮らす日常の裏に いろいろ隠れた空間が存在するものですね。
思い切って梁上は打ちっぱなしのコンクリートのままにするかなあ。
さすがに天井面は環境に配慮して断熱します。
投稿者:Yumi Kori |
工事の様子 Construction Site Diary, 日常風景 Diary, 設計のプロセス Design Process |
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