空間の心理的な広がりとつながりを設計する
— Designing the expansion and connection of psychological space. —

少し前に設計した、東京都内の密集地での住宅の事例を紹介します。
都心の密集地でも、居心地の良い住宅を設計する方法について語りたいと思います。
密集地の場合、住宅の間取りを考える前に、
まずは、どこからどのように光と風を取り入れるのか?
という課題を解くところから設計を始めます。
人間は植物と一緒で、光や風がないと元気がなくなってしまいますから。
敷地に流れる風や光を考えながら全体の空間構成を考えます。
それから、もう一つ問題になるのが、自動車の車庫問題。
車庫スペースは、道路に面してつくるの最も効率的。
結果、建物の正面のには駐車場のシャッターと
玄関を作ったら間口はいっぱいになってしまいます。
住宅の設計は、まず、そういう回避できない「問題」を解決するところからプランニングを始めます。
方位も、車の大きさも変わりませんから。。。

そして、もう一つの課題は、土地の形状。
今回のように間口が8メートル奥行きが20メートルという細長い土地では、
ともすると駐車場の脇の玄関から続く長い廊下に、順番に個室が並ぶというような間取りになってしまいます。
そうすると、奥の部屋と表との距離はとっても遠く感じてしまいます。
さて、このような条件の土地で、
どのような住まいの物語が展開していけるでしょうか?
この細長いトンネルのような土地で、
家族を一体感を持つにはどうしたらいいのでしょうか?
それが、実は建築設計の醍醐味、
悪条件を逆手に取って、ワクワクしながら
そういう心理的な問題を設計で解決することを考えます。

そこで、住まいに光と風を取り入れるために
南側に細長い中庭を作ることにしました。
玄関に入ると、まず、緑豊かな中庭が開け、
目の前には、ガラス張りのギャラリー、
そして、2階のテラスにつながる透けた鉄骨階段がある。
庭を立体的にすることで、中庭の狭さを広げる工夫をし、
心理的な広がりを生み出すことを考えました。

長い中庭があることで、一階の部屋も2階の部屋も、
全てが中庭に面する部屋になり、
中庭が家族を繋ぐ中心的な空間になります。
この中庭のおかげて、一番奥の部屋にいても、
表とつながった気持ちになれるのではないでしょうか。
これは、敷地の周りの建物の模型を作ったものです。
敷地の周りにはびっしり建物が立っている状態がよくわかります。
こうやって、周りの建物の状況を観察しながら、
しっかり現状を見据えて、光や風の流れを設計します。

模型だとわかりづらいので、プランを特別公開します。
玄関を入った中庭の先には、大きなガラスのテラスドアのあるギャラリー空間。
ここは、前庭と後ろの庭に囲まれて、応接室にも使えるし、くつろぎの場にもなります。
室内階段の後ろにも小さな庭を作り、外階段をと共に回遊動線を作ることで、
住まいの中に様々な視線の流れ、風の流れ、光の流れ、が生まれる設計です。
2階は、中庭の周りを囲むように広がるリビングダイニング。
細長い空間だから、コーナーごとに好きなことができます。
奥には、ロフト付きの子供部屋があります。
室内階段の位置にも注目してください。
子供部屋から一階の水回りにも便利な動線が確保しました。


投稿者:Yumi Kori | 設計のプロセス Design Process | 記事本文