スタジオ宙

耐震改修大勉強会 in 神戸で、郡裕美が講師を務めます。「アート・リノベーション」のススメ

— Yumi Kori lectured "Art Renovation" at Earthquake‐Resistant Design Conference in Kobe. —

2011年1月17日。耐震改修大勉強会 in 神戸で、郡裕美が講師を務めます。阪神淡路大震災から16年目の日に、養老孟司さんが耐震改修推進会議議長となって、神戸国際会議場で大勉強会が開かれます。詳細は、こちら。http://t95.jp/kobe-schedule.html

地震と震災は、違います。神戸の大地震が大きな大震災を引き起こし、多くの方が亡くなられた原因のひとつに、木造住宅の耐震性が弱かったことがあげられます。

全国から集まった工務店、建築設計士、それから林業関係の方々、行政関係者などが、一堂に会して住宅の耐震化について勉強しようという会議です。その勉強会の中で、「耐震改修・そして本格改修へ」という分科会があり、そこで、スタジオ宙の郡 裕美が、事例発表をしながら、リノベーションや改修、リフォームや改装の様々な可能性について語ります。題して「アートリノベーション」のススメ。強いだけでなく、美しく、楽しい住まいを作る創造的リノベーションの手法を紹介します。

(参考事例写真)京都の長屋のリノベーション、左が改装前写真、右が改装後の写真(スタジオ宙の設計)

アート・リノベーション

—「文化的」住宅改修のススメー

強いだけでは物足りない。もっと美しく、もっと楽しく生まれ変わりたい!

スタジオ宙(みゅう)一級建築士事務所 代表 郡 裕美(こおり ゆみ)

耐震診断、消防検査、室内環境汚染のチェックなど、ハード面から住宅建築を診断し、強くて安全な建物に生まれ変わらせることは、とても重要なことです。でも、住宅を改修する時、そういったハードな視点をもつだけでは、十分ではありません。住宅の持つソフトな側面、つまり、居心地良さや楽しさ、美しさなど「文化的側面」も考慮して改修する必要があります。なぜなら、住まいは、私たちの体だけでなく、心を入れる容器でもあり、身体の安全が確保されただけでは人間は幸せになれません。また、住宅は、そこで新しい命を育み、生活を通じて文化を次世代に伝える為の重要な教育的、文化的資産でもあるからです。

残念なことに、現実に建っている住宅を見てみると、それら住宅の文化的側面が充分考えられて設計されているものは、あまり無いように思います。ですから、耐震改修という大がかりな工事を行うとき、ソフト面からみた住宅診断を同時に行う必要があるのです。

1. 地域社会と適度に交わり、2.自然と親しみ、3.居心地の良い空間があり、4.家族の関係性に合った間取りで、5.機能的で働きやすく、6.適材適所に収納があり、7.家族の増減に対応でき、バリアフリー化が可能な計画。8.建物に楽しくて、美しさに感動できる芸術性があり、9.緑化、自然エネルギーを積極的に利用するなど環境共生型の住まい。これが、私の考える理想の住まいです。良い住まいというのは、それらの要素が、バランスよく満たされていることだと思います。

今回の「木の家」耐震改修大勉強会の機会を借りて、住宅の改修をする時に、耐震改修などのハード面に加えて、住み手の人間関係や、そこで展開される生活の質など、ソフト面から住宅を診断し、それを改修する方法をご紹介したいと思います。

ソフト面から見た住宅診断9項目

診断1.町との関係はうまくいっているか?

診断2.自然と触れ合う場があるか?

診断3.どこの場所も快適で居心地よいか?

診断4.家族関係に合った間取りか?

診断5.動線計画は、合理的か?

診断6.収納量、収納方法、収納場所は、適切か?

診断7.家族の成長に対応できるか?

診断8.建物に美しさ、楽しさがあるか?

診断9.環境に配慮しているか?

上記の項目に従って、住まいの各要素を診断し、良くない点を改修するようすれば、耐震改修だけに留まらず、本当の意味での質の高い住まいを作ることができます。

様々な事例を通して、アート・リノベーション、「文化的」住宅改修の設計手法についてお話しさせていただきます。

投稿者:Yumi Kori |  講演会 Lectures |  記事本文