YUMI KORI ART WORKS

2025年5月の記事

さりげない違和感と戯れる

Mirage Stairs, Workshop, Lecture Video

大阪ガス実験住宅NEXT21の住戸内で行われたワークショップの様子

2025年3月16日に、大阪ガス実験住宅NEXT21の住戸内に設置された蜃気楼階段を用いて行われたワークショップとミニレクチャーの映像がYoutubeに公開。ご覧いただけると幸いです。

蜃気楼階段は、荒川+ギンズモックアップ研究会(空間と身体感覚の相互作用にもとづく空間デザインの研究)の研究活動の一環で制作した「手続き型建築」のモックアップです。それは、住まいの中に侵入し、不条理劇のように日常の見え方を変え、生活者の無意識に「さりげない違和感」で働きかける。建築で人間を変える「手続き型建築」の実験装置です。ワークショップの前に郡裕美が簡単にその背景とコンセプトを語りました。

郡 裕美による蜃気楼階段に関するミニレクチャーの様子



「さりげない違和感と戯れる」 蜃気楼階段 について

大阪ガスNEXT21と荒川+ギンズ「建築する身体」思想
●ミニレクチャー: 郡 裕美(建築家・大阪工業大学教授)

●日時:2025年3月16日(日)13時30分〜16時30分(受付13時〜)

●会場:大阪ガス実験集合住宅NEXT21(〒543-0011 大阪府大阪市天王寺区清水谷町6−16)



未来の暮らし、100年続く暮らしを考えるための実験集合住宅NEXT21が、これまで30年の歩みを積み重ねてきて得られたものと、現代美術家荒川修作と詩人マドリン・ギンズの建築作品、彼らの思想とが交差する点を、日常生活の中にさりげなく違和感を潜ませる建築装置《蜃気楼階段》を通じて、考え、体験するイベントです。


●13時30分〜15時  トーク&ディスカッション パネリスト: 郡 裕美(建築家・大阪工業大学教授) 石津 智大(関西大学文学部教授) 服部 滋樹(京都芸術大学教授) 司会: 三村 尚彦(関西大学文学部教授) 15時10分〜16時30分 《蜃気楼階段》体験会

●ワークショップ+NEXT21 の住宅見学 講師:郡 裕美(建築家・大阪工業大学教授)小室 弘毅(関西大学人間健康学部教授)

●主催:荒川+ギンズモックアップ研究会(空間と身体感覚の相互作用にもとづく空間デザインの研究)2023年度関西大学研究拠点形成支援経費採択課題

●協力:大阪ガス株式会社、大阪工業大学、関西大学、荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所、科学研究費補助金:基盤研究 (B) 荒川修作+マドリン・ギンズ映画資料アーカイブ構築による映画制作過程と身体論の研究(課題番号:22H00616)

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Waiting 客人を待つアート

スイスの首都ベルンに住む友人の家を訪ねると、ダイニングルームの壁に不思議な作品が掛けてあった。ただ、それをよくよく見ると、それは絵画作品ではなく、シンプルな木のお盆。友人によると、これはアート作品でなくて、必要な時にはお盆を使うこともできる機能的な仕掛けであるという。

しかし、そのお盆をじっと見ていると不思議な気持ちになる。お盆というのは、その上に何かをのせるという前提で作られているものだからなのか、お盆を見ているとお盆の底板に直角な荷重のベクトルを感じてしまい、そこに、横倒しになったグラス、コーフィーカップ、そしてその中から逃げ出そうとする水やコーヒーが目に見えてくる。私はそんな自分の心の動き、想像力が働き、目に見えないものが見えてくるのが嬉しくなってきて、友人に語りかけた。これってアート作品だよね!

そこで、友人といっしょに作品のタイトルを考えた。友人が「Waiting 」というタイトルはどうかという。たしかに、いいタイトル。空っぽのお盆は、客人を待ち、その上に置かれる暖かいお茶と楽しい午後の会話の時間を待っている。そんなお盆を見ていたら、どこからともなく美味しいクッキーーを焼く香りがしてきた。

When I visited my friend’s house in Bern, the capital of Switzerland, I found a mysterious piece of art hanging on the dining room wall. However, upon closer inspection, I realized it was not a painting, but a simple wooden tray. According to my friend, this is not an art piece, but a functional device that can be used as a tray when needed.

However, when I stare at the tray, I feel a strange feeling. Perhaps because trays are made with the assumption that something will be placed on them, when I look at the tray, I perceive a vector of load perpendicular to the bottom plate of the tray, and I can see a glass that has been toppled over, a coffee cup, and water and coffee that are trying to escape from them. I was happy that my heart and imagination were working, and I could see something invisible, so I spoke to my friend. This is a work of art!

So I thought of a title for the piece together with my friend. My friend suggested “Waiting.” It certainly was a good title. The empty tray was waiting for guests, hot tea to be poured on it, and for a pleasant afternoon of conversation. As I was looking at the tray, I suddenly smelled the aroma of delicious cookies baking.

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