YUMI KORI ART WORKS

2025年8月の記事

箕面アートウォーク2025参加。瀧安寺鳳凰閣でインスタレーション

箕面山龍安寺鳳凰閣でインスタレーションの制作します。
今回の会場は、重要文化財、著名な建築家武田五一設計の建物です!

さて、この鳳凰閣の外観を見て何か思いませんか?
そうです。あの十円玉硬貨に使われている宇治の平等院鳳凰堂に似ているじゃないですか。それもそのはず武田五一は、宇治の平等院の修復をした設計者なのです!

よく見ると、本体に少しずれた形の赤い建築は、まさにうちの平等院の雰囲気!
箕面瀧安寺鳳凰閣の外観。赤い楼閣が宇治の平等院の雰囲気を感じます。
本体と少しずれた軸線で作られているのが、また、面白い。
まるで、現世に極楽浄土がふわりと飛んできたかのようです。
以下、文化庁のホームページに載っている説明文です。

さて、この鳳凰閣の重賞文化財の説明に、面白いことが書いてあります。
「宇治の平等院の気分を表現している」というのです。

普通、文化財というと、構造形式や様式について語られるものですが、
建築の「気分」について説明があるのは、本当におもしろいです。

さて、それでは、宇治の平等院 の復習をしてみよしょう。

さて、これが、宇治の平等院の写真。
水面に映った左右対称の朱塗の建築、なんと美しいことでしょう。

宇治の平等院鳳凰堂は、平安時代中期に藤原道長の子である藤原頼通によって建てられ、日本の10円硬貨にも使われるなど日本文化の象徴的な建築として国宝にも指定されています。池の中島に建つ朱塗りの鳳凰堂が阿字池の水面に映る様は、西方極楽浄土の世界を現世に再現する表現だと言われています。水面に映った虚像を各自が見ようとすることを通して、心の中に極楽浄土が立ち上がってくるという仕掛けです。

平等院鳳凰堂は、水面に映った姿を通して、
実際には見えない極楽浄土を表すというコンセプト。
水に移った橋を想像の中で渡り、
実際には存在しない極楽浄土の世界を想像して、
平安貴族は心の安息を得たのでしょうか。

そこで、箕面山鳳凰閣でもそれを再現できないか、、、と、
鳳凰閣の前に想像の池を写真コラージュで作ってみました。

想像の水に映る瀧安寺鳳凰閣、
そのアイディアを発展させて考えついたのが、このインスタレーション案です。
下は、鳳凰閣の広間の写真ですが、
ここから美しい箕面山の景色が楽しめます。

そこで、広間の部屋を池に見立て、その中央に「浮島」を作ることにしました。
外周に鏡を敷き詰めれば、そこに箕面の美しい景色が映り込むことでしょう。
美しい景色の中を浮遊しながら、
現世と極楽浄土の間を彷徨う時間を過ごしてほしい。

作品のタイトルは、現世とかいて「うつしよ」と読むことから、
「うつし・よ」というにしました。
夢のように美しい紅葉の箕面山の風景が映り込む中で、
かつて極楽浄土を夢見た平安貴族に想い馳せてほしいと思いました。

さて、この不思議な空間をあっという間につくってしまうというワークショップを行います。実際に制作に関わることで、空間の不思議、アートの力、を実感して欲しいと思います。参加される皆さんには、工具の使い方なども勉強して使ってみてもらいます。

参加希望の方は、メールでお知らせください。 koriyumi@gmail.com
人数が集まり次第、締め切りますので、早めの申し込みを。参加費は、無料です!


箕面の森アートウォーク2025参加作品

タイトル:「うつし・よ」
コンセプト:箕面瀧安寺鳳凰閣は、大正時代に建てられた重要文化財である。設計者の武田五一が「平等院の鳳凰堂の気分」を表したとされるこの建物の中で、来場者はかつての平安貴族が思い描いた極楽浄土に想いを馳せながら、しばし幻の時を過ごす。

期間:2025.11/15~11/30 (11/17, 25 は休館) 時間: 10:30〜16:00
会場:箕面山龍安寺
〒562-0002 大阪府箕面市箕面公園2−23
阪急梅田駅から阪急箕面駅まで25分。
箕面駅から瀧安寺までは徒歩15分。

展覧会に関する問い合わせ連絡先
箕面アートウォーク実行委員会
〒562-0004 大阪府箕面市牧落3丁目14−30−5ZONE 072-737-5431

ワークショップ、作品に関する問い合わせ
空間芸術文化研究機構, スタジオ宙一級建築士事務所
myu@studio-myu.com

終活という言葉が流行し、人々は自らの死を現実的な問題として理性的に受け止めることを強いられています。もちろん死は避けられない事実ではありますが、受け止め難いものでもあります。極楽浄土図も平等院も、肉眼では見えない極楽浄土を視覚芸術や建築で表現しようとした試みです。それによって人々に亡くなる瞬間の安らぎを与え、死後への不安を和らげる役割を果たしたと考えられます。かつての平安貴族が思い描いた極楽浄土への想いを馳せながら、しばしこの空中楼閣で幻の時を過ごしていただければいいなと思います。

2025. 5.17  郡 裕美 

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