YUMI KORI ART WORKS

『Art Project』 カテゴリーの記事

Border, installation at +1art, Osaka

Last summer, I stayed in Sacatar Foundation on a small island in Brazil. I woke up every morning before sunrise to meditate on the beach, wanting to feel the endless sky and sea with my whole body. I take a deep breath in and the morning air fills my body, and as I exhale, the air that was once a part of me returns to the atmosphere. As the sun rises I enter the silent sea. The boundaries of my body melt away and I become one with the sea water.

The sandy beach reflects the shape of the waves, creating patterns in the sand and leaving traces of the life of the many creatures that live in the beach. I pick up a piece of broken shell at my feet and draw a line on the sand. The sharp angle of the morning sun creates a deep abyss of shadow, a boundary line that divides the world into here and there, and at the same time appears to be a proof of my life. When the sun rose, the lines on the sand disappeared completely in the rising tide.

The morning I drew my first line-drawing on the beach, I received the news that my mother was in critical condition. I drew lines on the beach every day thinking of my mother until I could book a flight home on short notice.

I wanted to create a work on the theme of BORDER, a boundary that appears and disappears.

Yumi Kori

昨年の夏、ブラジルの小島に滞在した。私は、どこまでも続く空と海を全身で感じたくて、毎朝、日の出前に起きて海岸で瞑想をした。大きく息を吸い込むと朝の空気が私の体を満たし、ふーっと息を吐くと、さっきまで私の体の一部だった空気は、再び大気へ返っていく。太陽が昇ると私は静かな海に入る。身体の境界が溶けて海水と一体化していく。

砂浜には波の形が映されて砂紋ができ、浜に住む数々の生物の生命の跡が残る。私は足元にある貝殻を拾い、砂の上に線を描いてみる。朝日の鋭角の光が深い影を作り、世界をあちらとこちらに分ける境界線になり、同時に私の生きた跡にも見える。日が昇りきると、砂の上の線は満ち潮のなかにすっかり消えていた。

初めて砂浜に線画を描いた朝、母が危篤だという訃報が届いた。急遽帰国する飛行機の予約が取れるまで、私は毎日私の母のことを思いながら海岸に線を描いた。

私は現れたり消えたりする境界; BORDERをテーマにした作品を作りたいと思った。

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空き地を囲うプロジェクト?

— Wrapping the Emptiness in Tokyo. Beyond Christ Art Project? —


空き地が、まわりに建設中の現場仮囲いシートで、囲われている。
地上げに失敗した空き地だろうか?
空き地という「空白」が布で包まれているというこの状況、どこかコンセプチュアルなアート作品のようだ。どこかナンセンス感が漂いながらも、敷地について、空間について、土地を所有するということについて、いろいろ考えさせられる。
こんな作品、作ってみたいとは思うけど、普通は予算がなくてとても出来ない。でも、こうやってヒョイっと、偶然に実現されている。町は、見方によっては美術館よりずっと楽しい。
何でもかんでも囲ってしまうラッピングの作品を作ったのは、アーティストのクリスト。しかし、いくら彼らでも、まさか空き地を囲うわけに行かなかっただろう。。。
これは、クリストを超える偉大なアート作品かも!!!

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Green Airplane 緑のプチプチで境界を越える。

— Green Sheets create new Space and Relationship between Sidewalk and Interior, to Break through Invisible Wall. —


今日は、Green Airplaneインスタレーションの空間設計について話してみたい。紙飛行機を使ってガラスの壁を「覚醒」させただけでなく、床に緑の帯状のシートを張ることによっても、ガラスの境界性に揺さぶりをかけた。緑のシートは 川上産業から提供いただいたプチプチ。浮遊感のある素材な上、足の踏み心地も抜群。半透明なカーペットみたいで可愛かった。
たった2本の緑のシートを床に敷いただけでその間に関係性ができ、新しい場が生まれ、それに誘われるかのように、私たち人間にも、ささやかな新しい「つながり」が生まれた。

まず、会場の床の真ん中に直線に緑のシートを張り、部屋の中に緑の領域を作った。そして、建物前面の歩道にも緑のシートを帯状に張る。すると、その2本の帯の間にほんのり緑に染まった「場」が立ち現れ、今までガラスの壁で分断されていた内と外が、少しだけつながったような気がした。 そして、建物の内側からガラスに向かってみんなで紙飛行機を飛ばす。すると、時折、飛行機がその透明の壁をつき抜けたかのように、通行人がこちらを不思議そうに見つめる。そんなとき、ガラスの箱の中にいる私たちと見知らぬ人の間に言葉のない会話が生まれ、一瞬、透明の壁が溶けた様な気がした。

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Green Airplane インスタレーション大盛況!

— Green Airplane, Installation by Yumi Kori + Studio X Tokyo, Graduate school of Architecture, Planning and Preservation, Columbia University, New York. —


8月8日に行ったGreen Airplane インスタレーションのご報告です。
これは、コロンビア大学の大学院の東京の研究拠点Tokyo X studioの活動の一環で企画が実現したもので、「見えない壁を突き抜ける」というのが副題。
蒸し暑い夏の午後、完全空調されたガラス張りのビルの一階にて、参加者みんなで、紙飛行機を折り、ガラスに向かってそれを飛ばす Installationをした。
さて、ガラスに当たって次々と落ちる飛行機を見て不可能性を感じるか、その見えない壁の存在を改めて考えてみることによって何かが変わり、私達が救われるきっかけになるのか…。

最近、ガラスというボキャブラリーが建築の中でひどく安易に使われていて、建築設計者も建築学科の学生も結構、無神経に多用している。外壁をガラスにすれば公共施設が町に開かれているとか、ガラスにして外の景色が見えれば自然とつながるとか、、。今回のプロジェクトは、コロンビア大学の建築学科のスタジオの一環ということもあり、ガラスのもっている拒絶性、不可能性みたいなことを、アートインスタレーションを通じて再認識できるといいなと思った。
学生だけでなく、参加してくれた人みんなが、ガラスという透明の壁に対して、内と外を隔てる境界に対して、自分と世界との関係について、なにか新しい視点を持って返ってくれ、こんな小さな遊びから、今の社会の閉塞状況を変える一歩が始まるといいなと思った。

しかし、ほんと、久しぶりに楽かったあ!
このスライドショー(1分40秒)をみていただけると、インスタレーションの様子がわかります!

いっしょに参加して遊んでくださった皆様、学生さん、本当にありがとう!
コロンビア大学建築学科スタジオX東京の廣瀬大祐さんの全面的なサポートのおかげで、実現できました。心から感謝します。コロンビア大学の工藤国男先生、サポートありがとうございました。

それから、会場提供をしてくださった Shibaura House 株式会社 広告製版社様、
床プチプチシート提供 川上産業株式会社 プチプチ文化研究所様、お世話になりました。

Green Airplane – Breaking through Invisible Wall –
2012. August 8th @ Shibaura House, Tokyo
Installation by Yumi Kori + Studio X Tokyo, Graduate school of Architecture, Planning and Preservation, Columbia University, New York.

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みどりの紙飛行機、準備会議にて。

— Green Airplane Preparation with prof.Kudo, Columbia University. —


来週8月8日、久しぶりに東京でアートプロジェクトをやる。Green Airplane という参加型アートだ。場所は、田町駅から徒歩7分Shibaura House。2時ワークショップ。4時講演会。5時インスタレーション。
コロンビア大学の建築学科の大学院の東京拠点Tokyo-X studio の主催で、私の講演会も同時に開催する。詳しい情報はこちら
さて、これは、そのイベントの準備会議。私とTokyo-X studio ディレクターの廣瀬大祐さんと2人で打合せをしている間、コロンビア大学教授の工藤国男先生が次々に違うかたちの飛行機を折り始めた。それを見ていたら、このアートプロジェクトが大成功しそうな気がしてきた。だって、工藤先生が自分の手を動かしてものをつくっているのを見るのは始めてで、しかも、その表情は子どものように楽しそうなんだもの。
イベントは、8月8日。あと残すところ4日。
緑の紙、緑のTシャツ、緑のテープ、緑茶、パーティー用のワインを注文したり、、、毎日、大忙し。もちろん、講演会の準備も着々と進めています。

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動いていると見えなくて、止まっていると見えるもの、またはその反対。

— Stop Sign made me think of Time Perception. —


近所の道路に「止まれ」サインが新しく描き加えられた。長く引き延ばされ、注意深くレタリングされた「止まれ」という文字を観察していたら、私の横をすごいスピードで通り抜け、急停車する車の幻が見えた。この「止まれ」サイン。立ち止まっている私の目には明らかに間延びした文字だけど、車で走りながら見たら普通のサインに見えるはず。
でも、立ち止まってまじまじとサインを見ている私には、この文字がそんなスピードとは縁がなく、ゆっくり丁寧に描かれたことがよくわかる。それは、文字のまわりに注意深く描かれた補助線や几帳面に塗りつぶされた職人技が見えるから。
動いていると見えなくて、止まっていると見えるもの、きっとこの他にもたくさんあるんだろうな。
同じ道でも、ゆっくり歩く人、走り過ぎる人、風景はまったく違って見える。毎日あわただしく動き回っていると、知らないうちに見えなくなっているものがあるに違いない。たまには、立ち止まってスロウに生きたい。…でも、このサインの文字のように、ゆっくり歩いているとちゃんと読めない場合もある。
新しく描かれた「止まれ」サイン、単純そうだけど難易度の高いメッセージを贈ってくれた。

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