2025. 08. 03
箕面山龍安寺鳳凰閣でインスタレーションの制作します。 今回の会場は、重要文化財、著名な建築家武田五一設計の建物です!
さて、この鳳凰閣の外観を見て何か思いませんか? そうです。あの十円玉硬貨に使われている宇治の平等院鳳凰堂に似ているじゃないですか。それもそのはず武田五一は、宇治の平等院の修復をした設計者なのです!
よく見ると、本体に少しずれた形の赤い建築は、まさにうちの平等院の雰囲気! 箕面瀧安寺鳳凰閣の外観。赤い楼閣が宇治の平等院の雰囲気を感じます。 本体と少しずれた軸線で作られているのが、また、面白い。 まるで、現世に極楽浄土がふわりと飛んできたかのようです。 以下、文化庁のホームページに載っている説明文です。
さて、この鳳凰閣の重賞文化財の説明に、面白いことが書いてあります。「宇治の平等院の気分を表現している」 というのです。
普通、文化財というと、構造形式や様式について語られるものですが、 建築の「気分」について説明があるのは、本当におもしろいです。
さて、それでは、宇治の平等院 の復習をしてみよしょう。
さて、これが、宇治の平等院の写真。 水面に映った左右対称の朱塗の建築、なんと美しいことでしょう。 宇治の平等院鳳凰堂は、平安時代中期に藤原道長の子である藤原頼通によって建てられ、日本の10円硬貨にも使われるなど日本文化の象徴的な建築として国宝にも指定されています。池の中島に建つ朱塗りの鳳凰堂が阿字池の水面に映る様は、西方極楽浄土の世界を現世に再現する表現だと言われています。水面に映った虚像を各自が見ようとすることを通して、心の中に極楽浄土が立ち上がってくるという仕掛けです。
平等院鳳凰堂は、水面に映った姿を通して、 実際には見えない極楽浄土を表すというコンセプト。 水に移った橋を想像の中で渡り、 実際には存在しない極楽浄土の世界を想像して、 平安貴族は心の安息を得たのでしょうか。
そこで、箕面山鳳凰閣でもそれを再現できないか、、、と、 鳳凰閣の前に想像の池を写真コラージュで作ってみました。
想像の水に映る瀧安寺鳳凰閣、 そのアイディアを発展させて考えついたのが、このインスタレーション案です。 下は、鳳凰閣の広間の写真ですが、 ここから美しい箕面山の景色が楽しめます。
そこで、広間の部屋を池に見立て、その中央に「浮島」を作ることにしました。 外周に鏡を敷き詰めれば、そこに箕面の美しい景色が映り込むことでしょう。 美しい景色の中を浮遊しながら、 現世と極楽浄土の間を彷徨う時間を過ごしてほしい。
作品のタイトルは、現世とかいて「うつしよ」と読むことから、 「うつし・よ」というにしました。 夢のように美しい紅葉の箕面山の風景が映り込む中で、 かつて極楽浄土を夢見た平安貴族に想い馳せてほしいと思いました。
さて、この不思議な空間をあっという間につくってしまうというワークショップを行います。実際に制作に関わることで、空間の不思議、アートの力、を実感して欲しいと思います。参加される皆さんには、工具の使い方なども勉強して使ってみてもらいます。
参加希望の方は、メールでお知らせください。 koriyumi@gmail.com人数が集まり次第、締め切りますので、早めの申し込みを。参加費は、無料です!
箕面の森アートウォーク2025参加作品 タイトル :「うつし・よ」コンセプト :箕面瀧安寺鳳凰閣は、大正時代に建てられた重要文化財である。設計者の武田五一が「平等院の鳳凰堂の気分」を表したとされるこの建物の中で、来場者はかつての平安貴族が思い描いた極楽浄土に想いを馳せながら、しばし幻の時を過ごす。期間 :2025.11/15~11/30 (11/17, 25 は休館) 時間: 10:30〜16:00会場:箕面山龍安寺 〒562-0002 大阪府箕面市箕面公園2−23 阪急梅田駅から阪急箕面駅まで25分。 箕面駅から瀧安寺までは徒歩15分。展覧会に関する問い合わせ連絡先 箕面アートウォーク実行委員会 〒562-0004 大阪府箕面市牧落3丁目14−30−5ZONE 072-737-5431 ワークショップ、作品に関する問い合わせ 空間芸術文化研究機構, スタジオ宙一級建築士事務所 myu@studio-myu.com
終活という言葉が流行し、人々は自らの死を現実的な問題として理性的に受け止めることを強いられています。もちろん死は避けられない事実ではありますが、受け止め難いものでもあります。極楽浄土図も平等院も、肉眼では見えない極楽浄土を視覚芸術や建築で表現しようとした試みです。それによって人々に亡くなる瞬間の安らぎを与え、死後への不安を和らげる役割を果たしたと考えられます。かつての平安貴族が思い描いた極楽浄土への想いを馳せながら、しばしこの空中楼閣で幻の時を過ごしていただければいいなと思います。
2025. 5.17 郡 裕美
投稿者:yumi |
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2025. 07. 27
箕面山龍安寺鳳凰閣で建築✖️アートインスタレーションの制作を、ワークショップ形式を行います。 アーティストと一緒に、空間アート作品を作ってみたい方は、是非、参加ください。
「アートで空間を変える」実践ワークショップ 日時: 11月8日(土), 11月9日(日)9:30~18:30 作業しやすい服装で来てください。参加希望の方は、メールでお知らせください。 koriyumi@gmail.com人数が集まり次第、締め切りますので、早めの申し込みを。参加費は、無料です!
今回の会場は、なんと重要文化財、著名な建築家武田五一設計の建物です!
広間の部屋を池に見立て、その中央に浮島を作ることにしました。 外周に鏡を敷き詰めると、そこに箕面の美しい景色が映り込むことでしょう。
浮島に座り、夢のように美しい紅葉の箕面山の風景の中、 かつて極楽浄土を夢見た平安貴族に想い馳せてほしい。
この不思議な空間をあっという間につくってしまうというワークショップです。 実際に制作に関わることで、空間の不思議、アートの力を実感して欲しいと思います。
2年前のワークショップの様子は、こんな感じでした。 参加される皆さんには、工具の使い方なども勉強して使ってみてもらいます。
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参加希望の方は、メールでお知らせください。 koriyumi@gmail.com人数が集まり次第、締め切りますので、早めの申し込みを。参加費は、無料です!
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箕面の森アートウォーク2025参加作品
タイトル :「うつし・よ」コンセプト :箕面瀧安寺鳳凰閣は、大正時代に建てられた重要文化財である。設計者の武田五一が「平等院の鳳凰堂の気分」を表したとされるこの建物の中で、来場者はかつての平安貴族が思い描いた極楽浄土に想いを馳せながら、しばし幻の時を過ごす。
期間 :2025.11/15~11/30 (11/17, 25 は休館) 時間: 10:30〜16:00会場:箕面山龍安寺 〒562-0002 大阪府箕面市箕面公園2−23 阪急梅田駅から阪急箕面駅まで25分。 箕面駅から瀧安寺までは徒歩15分。
展覧会に関する問い合わせ連絡先 箕面アートウォーク実行委員会 〒562-0004 大阪府箕面市牧落3丁目14−30−5 ZONE 072-737-5431
ワークショップ、作品に関する問い合わせ 空間芸術文化研究機構, スタジオ宙一級建築士事務所 myu@studio-myu.com
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投稿者:yumi |
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2025. 05. 21
Mirage Stairs, Workshop, Lecture Video
2025年3月16日に、大阪ガス実験住宅NEXT21の住戸内に設置された蜃気楼階段を用いて行われたワークショップとミニレクチャーの映像がYoutubeに公開。ご覧いただけると幸いです。
VIDEO
大阪ガス実験住宅NEXT21の住戸内で行われたワークショップの様子
蜃気楼階段は、荒川+ギンズモックアップ研究会(空間と身体感覚の相互作用にもとづく空間デザインの研究)の研究活動の一環で制作した「手続き型建築」のモックアップです。それは、住まいの中に侵入し、不条理劇のように日常の見え方を変え、生活者の無意識に「さりげない違和感」で働きかける。建築で人間を変える「手続き型建築」の実験装置です。ワークショップの前に郡裕美が簡単にその背景とコンセプトを語りました。
VIDEO
郡 裕美による蜃気楼階段に関するミニレクチャーの様子
「さりげない違和感と戯れる」 蜃気楼階段 について
大阪ガスNEXT21と荒川+ギンズ「建築する身体」思想 ●ミニレクチャー: 郡 裕美(建築家・大阪工業大学教授)
●日時:2025年3月16日(日)13時30分〜16時30分(受付13時〜)
●会場:大阪ガス実験集合住宅NEXT21(〒543-0011 大阪府大阪市天王寺区清水谷町6−16)
未来の暮らし、100年続く暮らしを考えるための実験集合住宅NEXT21が、これまで30年の歩みを積み重ねてきて得られたものと、現代美術家荒川修作と詩人マドリン・ギンズの建築作品、彼らの思想とが交差する点を、日常生活の中にさりげなく違和感を潜ませる建築装置《蜃気楼階段》を通じて、考え、体験するイベントです。
●13時30分〜15時 トーク&ディスカッション パネリスト: 郡 裕美(建築家・大阪工業大学教授) 石津 智大(関西大学文学部教授) 服部 滋樹(京都芸術大学教授) 司会: 三村 尚彦(関西大学文学部教授) 15時10分〜16時30分 《蜃気楼階段》体験会
●ワークショップ+NEXT21 の住宅見学 講師:郡 裕美(建築家・大阪工業大学教授)小室 弘毅(関西大学人間健康学部教授)
●主催:荒川+ギンズモックアップ研究会(空間と身体感覚の相互作用にもとづく空間デザインの研究)2023年度関西大学研究拠点形成支援経費採択課題
●協力:大阪ガス株式会社、大阪工業大学、関西大学、荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所、科学研究費補助金:基盤研究 (B) 荒川修作+マドリン・ギンズ映画資料アーカイブ構築による映画制作過程と身体論の研究(課題番号:22H00616)
投稿者:yumi |
Art Project , Lecture , お知らせ News , アート , 建築 |
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2025. 05. 19
スイスの首都ベルンに住む友人の家を訪ねると、ダイニングルームの壁に不思議な作品が掛けてあった。ただ、それをよくよく見ると、それは絵画作品ではなく、シンプルな木のお盆。友人によると、これはアート作品でなくて、必要な時にはお盆を使うこともできる機能的な仕掛けであるという。
しかし、そのお盆をじっと見ていると不思議な気持ちになる。お盆というのは、その上に何かをのせるという前提で作られているものだからなのか、お盆を見ているとお盆の底板に直角な荷重のベクトルを感じてしまい、そこに、横倒しになったグラス、コーフィーカップ、そしてその中から逃げ出そうとする水やコーヒーが目に見えてくる。私はそんな自分の心の動き、想像力が働き、目に見えないものが見えてくるのが嬉しくなってきて、友人に語りかけた。これってアート作品だよね!
そこで、友人といっしょに作品のタイトルを考えた。友人が「Waiting 」というタイトルはどうかという。たしかに、いいタイトル。空っぽのお盆は、客人を待ち、その上に置かれる暖かいお茶と楽しい午後の会話の時間を待っている。そんなお盆を見ていたら、どこからともなく美味しいクッキーーを焼く香りがしてきた。
When I visited my friend’s house in Bern, the capital of Switzerland, I found a mysterious piece of art hanging on the dining room wall. However, upon closer inspection, I realized it was not a painting, but a simple wooden tray. According to my friend, this is not an art piece, but a functional device that can be used as a tray when needed.
However, when I stare at the tray, I feel a strange feeling. Perhaps because trays are made with the assumption that something will be placed on them, when I look at the tray, I perceive a vector of load perpendicular to the bottom plate of the tray, and I can see a glass that has been toppled over, a coffee cup, and water and coffee that are trying to escape from them. I was happy that my heart and imagination were working, and I could see something invisible, so I spoke to my friend. This is a work of art!
So I thought of a title for the piece together with my friend. My friend suggested “Waiting.” It certainly was a good title. The empty tray was waiting for guests, hot tea to be poured on it, and for a pleasant afternoon of conversation. As I was looking at the tray, I suddenly smelled the aroma of delicious cookies baking.
投稿者:yumi |
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2024. 12. 05
・大阪ガス実験集合住宅NEXT 21 からトラックで蜃気楼階段がお引っ越し。
関西大学の未来キャンパスに設置しました!
吹き抜けにある大きな木の隣に現れた蜃気楼階段に登ると、
コロボックルのような小人になってような感覚になります。
・関西大学の未来キャンパスに設置されると、階段の見え方が全く新しくなりました!
蜃気楼階段のパーツを変えると、空間がどんどん変わって感じられます。
使用法を書いた展示パネルもあります!
投稿者:yumi |
Art Project , アート |
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実際の住宅の中に蜃気楼を設置したら日常に新しい視点が生まれるか?
念願の試みが実現しました。
・NEXT21 住宅 202号室内に置かれた、蜃気楼階段の様子
・2024年7月14日、一般市民の方々も参加してワークショップをしました。
・2024年9月25日、ワークショップの様子
・2024年9月25日、学生とのワークショップの様子
投稿者:yumi |
Art Project , アート |
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2024. 08. 17
建築は旅の装置。 障子や簾戸が室を作り、層を重ねてオクへ伸びる時間と空間。 町家空間の奥行きに青い光を挿入し、 どこまでも続く時の流れを感じる作品を作りたいと思った。
坪庭の向こうのはなれの青い光、 網代の上を流れ出し、 未知の世界へとわたしを誘う。
もともとお茶屋さんだったこの家は、 京の町家の特徴に倣い、間口が狭く奥行きが深い。 振り返るとオモテの光も網代の上をすべり、 幾重もの簾戸を抜け、奥庭の冷んやりした光とゆっくり溶け合う。
表の間に座ってトオリを見れば、 東山まで突き抜ける町の風景が 格子を通り抜けた光と戯れ シネマのように展開する。
奥の光と表の光が出会う場所に そっと「刻の雫」を置く。 手拭きガラスの中に閉じ込めた私の息が 小さな小宇宙となり 格子の向こうに広がる町の風景を映し込む。
後ろを振り返れば、夏夢の 青の世界もガラスの中の気泡の中に 静かに息づく。
●Floating Frame マテリアル:アクリル
町家のオクとオモテ 格子の内外の世界のつなぐ窓として、 小さなアクリルフレームを設置した。
古くからお茶屋さんが並ぶ京都花見小路の町並みは閉鎖的だ。 駒寄せ、格子、簾などで覆われた建物の外観から、内側の様子は全く見えない。 「祇をん小西」の建物も例外ではない。
町家の格子は視線をコントロールする。 外から建物の中はよく見えないが、室内からは町の景色がよく見える。 ウチからの視線は、格子の先の町の光景を通り越し、 東山の風景まで突き抜ける。
●コンセプト ドローイング
これは「祇をん小西」の平面図と断面図 オモテとオクとを結ぶ 東西の軸に対応して、 玄関にInfinity Device 、土間に映像作品 uatatane/GIONを設置し、 南北の軸を表した。町家の町との関係性を感じられる作品を作りたいと思った。
●Infinity Device マテリアル:アクリル、ミュージーアムボード
これは、持ち運びできる携帯無限装置。 小さな箱の中に現れる光と陰で無限の空間。 光の門を覗き込めば、 町家の宇宙の広がりと同じく、 奥へ奥へと空間が伸びていく
● utatane/ GION マテリアル: LEDモニター、紙、アクリル Special Thanks to Sacatar Faoundation and Taylor Van Horne
ブラジルの古都サルバドール近くのイタパリカ島で撮った映像のインスタレーション。 東西、南北、そして天と地と、 この町家が、世界とつながっている感覚を感じてほしいと思った。
●刻の雫 マテリアル:手吹きガラス、ナイロン、木材 Special Thanks to Urban Glass, New York
フレームから覗くと「刻の雫」の中に息づく青い世界が見える。 このガラス作品は2009年にニューヨークのガラス工房で作ったもの。
「刻の雫」の真下には、もうひとつのFloating Frame とミラーを設置。 空を映す井戸のように、「刻の雫」が天と地をのつながりを表す。
●ドローイング「夏夢」 町家空間の奥行きだけを見つめて 手描きしたドローイングをデジタル化した作品。
●展覧会情報 郡 裕美+小西いく子夏夢 Infinity Device / GION 7月13日(土) – 21日(日)13:00~19:00 (最終日 13:00-17:00) 祇をん小西 京都市東山区祇園町南側570-121gionkonishi.com TEL 075-561-1213
This is a site-specific installation in an Old Machiya House in Kyoto. I use architecture as a traveling device to explore “Infinity Space”. Gion Konishi, a former teahouse, has a narrow frontage and deep interior, as is typical of Machiya houses in Kyoto. The light from the front slips through the lattice, slides over the Ajiro carpet passes through the many layers of lead screen doors, and slowly blends with the quiet light in the back garden. When one sits in the back tatami room and looks towards the street, the scenery leading to the Higashiyama Mountains unfolds like a cinema. Architecture is a traveling device. Shoji and sliding doors suggest rooms and layers of time and space extend to the Oku depth. I installed blue light into the depths of the Machiya space and created the endless flow of time. I dreamed of the light of the future overlapping the shadow of memory.
●Ehixbition InformationYumi Kori + Ikuko Konishi Summer Dream, Infinity Device / GION 7/13 sat. – 21sun. 13:00~19:00 Gallery GION KONISH
展覧会では、「祇をん小西」のオーナー 小西いく子さんの花が、 祇園祭の遠い記憶を思い起こさせる掛け軸とともに、 床の間、玄関、坪庭に美しく生けられた。
At the Exhibition, Ikuko Konishi’s flower arrangement was installed in the gallery space, A picture scroll with the ancient Gion Festival Memory was installed in the Toko picture alcove.
投稿者:yumi |
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