YUMI KORI ART WORKS

料理を通して建築を学ぶ?

— Leaning Architecture through Cooking! —

先日のBBQでの出来事。教え子の建築学科の学生に準備を手伝って貰った。
「カボチャを蒸すから、3センチ角ぐらいの大きさに均等に切ってね。」簡単な事だと思って気軽に頼んのだが、その成果物に目を丸くした。5分後にまな板の上に並んでいたカボチャは、厚みが1センチから3センチくらいまで、まちまちだ。
「え?これじゃ、調理時間に個体差ができすぎて困るよ。ほら、蒸し器をみてよ。蒸気が均等に当たって、表面から内部に伝わる熱が同じになるように切らなければ、柔らかいところと堅いところの差がありすぎてうまく火が通らないよ。」
そんな当たり前のこと、まさか説明しなければならないとは、思いもしなかった。
「カボチャのひと切れ、それぞれの容積が均等か、いやいや体積だけの問題ではない。表面から内部への距離感が同じくらいか。」
自分が今までそれらを瞬時に判断しながら、野菜に包丁を入れていたとは気がつかなかった。
でも、この感覚、建築にも通じるんだよね。
たとえば、部屋の容積と光の関係。障子で囲まれた部屋があるとしよう。カボチャの表面から蒸気が入り込むように、障子を通して光が浸透する様子を想像してみてほしい。同じ容積の部屋でも丸い部屋と、細長い部屋とでは、中心部の明るさは全く違う。
あー、こういう当たり前のこと、人は日常生活の経験を通して学んでいくんだなあー。
学生には、建築教育とか大学で学ぶ「学問」だけでなく、いろんな事をする機会を作ってあげたいものだと、つくづく思った。

投稿者:yumi |  建築, 日常風景 |  記事本文