YUMI KORI ART WORKS

『建築』 カテゴリーの記事

空間認識をコンピューターで解析する試み

— ENVIOUS CODE, lecture by Toru Hasegawa @ Studio-X Tokyo —

コロンビア大学でcomputation designを教えている長谷川徹氏の講演会を聞いた。人間の目の動きを観察することで、人が建物の何処をみているか解析し、それを建築の設計に生かすという画期的なアイディアを紹介された。I-phone を持ち歩きながら、脳波をEEGと呼ばれる機械で観察しながら空間をマッピングする実験、おもしろそうだ。こんな研究が進めば、近い将来、EEGを使って、「空間を読み取る力」をトレーニングするマシンができ、だれでもが「空間の隠れた美しさ」を感じられるようになるかしら?

コンピューターは、人間のExtension でも、Replacement でもなくて、Externalization?コンピューターを考えることは、人間について考えることだと気づかされた、深いレクチャーだった。

投稿者:yumi |  Lecture, 建築 |  記事本文

「中心のある家」で中心を見つけた。

— Wondering the meaning of center at "the House with Center" —

私が若い頃にお世話になっていたアルテック建築研究所の所長宅、阿部邸に伺いました。「中心のある家」と名付けられたその住まいは、雑木林に埋もれるように建っていました。タイ国であつらえたという美しい木彫りのドアを開けてさあどうぞと迎えられ、一歩足を踏み入れるとそこは、なんとも言えない柔らかな香り がする空間でした。家の中を自由に見てくださいという言葉に甘えて家の中を歩き回った末に、2階の角でわたしが窓の外を見ながら突っ立ていると、「座ってみなさい。気持ちいいから。」と阿部さんに促され、2階のデイベッドに腰掛けました。そこは、どこかデカダントな雰囲気につ つまれていて、オレンジ色の夕日と木漏れ日のキラキラが美しく、体の芯から幸せな気持ちがわき上がってくるのがわかりました。やはり建築は、その場の空気を吸って始めてわかるのだと思いました。

2階の真ん中にコンクリートの壁で囲われた部屋の中に、この天窓があるのを見つけました。そのときわかったのです。「中心のある家」でありながら、この家が不思議なことにちっとも求心的でないわけが。きっとこの家の中心は、この家の中にないのです。中心はこの天窓のむこうにある空。住まいはこの窓を通じて宇宙につながっていて、天からエネルギーがこの家に注ぎこまれ、それが家を通して静かに世界に浸みだしているような気がしました。だから、この家ではエネルギーのベクトルが内向きでなくて、外向きに感じるのだと思いました。
11月の美しい秋晴れの午後、「中心」の内外に散らばるたくさんの居心地良い場所を訪ねながら、至福の時間を過ごさせていただきました。

 

投稿者:yumi |  建築, 日常風景 |  記事本文

バリ島アマンダリの建築を体験

— Experienced the Architecture of Amandari Resort in Bali —

先日、アジア建築家評議会のゴールドメダルを受賞し、その授賞式のため、バリ島を訪れた。
良い機会なので、あの有名なアマンダリリゾートに宿泊してみることにした。行ってみて、その簡素な作りに驚いた。まず、ホテルの入り口は表通りから一本入ったところに隠れるかのようにあり、きっと普通の人は見逃してしまうくらいにひっそりしている。ホテルの敷地内にはいると、まるで小さな村に迷い込んだかのようで、各コッテージが静かな町並みを作っていた。そして、門をくぐって入った客室は、噂のとおりシンプルで気持ちの良い空間だった。方形プランの東西南北の各窓からみえる風景は、田園風景、ジャングルのような緑、静かなコートヤード、大理石の露天風呂、、、と、それぞれちがい、窓を開けはなつと、気持ちの良い風が通り抜ける。
なるほど、バリのリゾートホテルのような住まいを設計してほしいという人の気持ちが、よーくわかった。やはり住まいは、簡素でありながらいかに贅沢な空間をつくるかっていうことにつきる。

投稿者:yumi |  建築, 旅行 TRIP |  記事本文

記憶を再現する機械!ジーンズの皺を人工的に作り出す。

— Creating Artificial Trace, at Service tec Japan,  —


使い古されたジーンズの皺をscanして真っ新なジーンズに映し込むという不思議な機械を見た。皺は、記憶だ。つまり、これは、誰か知らない他人の経験や記憶をあっという間に写し取ってしまう機械ということ。デニム生地は、表面を薄く摺ると中白の部分が現れるため、表面をレーザーで焼けば簡単に色落ちさせられる。そこで、ジーンズを穿き込んだ時にできる「ヒゲ」や、擦れてできるアタリ(色落ち)を人工的に作り、USED感をだすこの手法が発明されたらしい。

なぜ使い古されたジーンズの方がかっこいいと感じるのか良くはわからないけど、この「皺を愛する心」は、どこか「侘び寂び」に通じるような気がした。この不思議な機械、建築の素材作りやアート作品に使えそう!!いろいろその使い道を想像しているうちにワクワク楽しくなって、何枚も写真を撮影、ビデオまで撮ってしまったので、ここで公開しまーす!
一昨年、私が内装設計をお手伝いした株式会社サービステックジャパン 横浜オフィスの2周年記念パーティーでのデモの様子。

投稿者:yumi |  アート, 建築, 町で出会ったこと |  記事本文

空き地を囲うプロジェクト?

— Wrapping the Emptiness in Tokyo. Beyond Christ Art Project? —


空き地が、まわりに建設中の現場仮囲いシートで、囲われている。
地上げに失敗した空き地だろうか?
空き地という「空白」が布で包まれているというこの状況、どこかコンセプチュアルなアート作品のようだ。どこかナンセンス感が漂いながらも、敷地について、空間について、土地を所有するということについて、いろいろ考えさせられる。
こんな作品、作ってみたいとは思うけど、普通は予算がなくてとても出来ない。でも、こうやってヒョイっと、偶然に実現されている。町は、見方によっては美術館よりずっと楽しい。
何でもかんでも囲ってしまうラッピングの作品を作ったのは、アーティストのクリスト。しかし、いくら彼らでも、まさか空き地を囲うわけに行かなかっただろう。。。
これは、クリストを超える偉大なアート作品かも!!!

投稿者:yumi |  Art Project, アート, 建築, 町で出会ったこと |  記事本文

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