BAKU FARM
この住宅は、武蔵野の緑溢れる野川の畔にひっそりと建っている。 あたりは閑静な住宅地であるが、女性一人暮らしという理由から、
建物は、外に対して閉じたプランになっている。しかし、家を囲い込むことによって、
かえって風と光の存在が目に見えるようになった。また、ソーラーシステムによって、
屋内に居ながらにして太陽の存在を感じることができ、さらに、家の中を土足で使うことによって、家の内外に渡って回遊できる動線が実現し、
結果的に外と強いつながりを持つ家となった。
居間ではなく、人が集まれるサロンとして、水庭をもったテラスと一体化した敷き瓦の土間空間。
また、和室のスケールをもった隠れ家のような寝室。そして、外部テラスと一体化し、オモテに面した日当たりのよいアトリエ。
さらに、それらの場所をブリッジで隔て、同時に吹抜けでつないだ。
敷地は28坪と狭いながらも、結果的にその中に様々な性質を持った場所ができ、その間を移動する度に、住み手と家との様々な関係が生まれることとなった。
それぞれの場の使い方は固定されず、他の使い方にも対応できるスケールをもっており、生活を楽しみながら、様々な局面に対応できる変化に富んだ家ができあがった。
東京都
木造2階建
写真 / 栗原宏光(C), 目黒伸宜(C)