スタジオ宙

『美術の仕事 Art, Stage Design』 カテゴリーの記事

役者の動きで場を作る舞台美術@高田馬場

— New "place" emerges through the actor's movement. —

さまざまな大きさや色の箱がランダムに置かれているだけに見える舞台セット。

でも実は、役者がその箱に座ったり、登ったり、その上で立ち止まったり、あるいは、2つの箱の間を通り抜けたりするたびに、新しい場が生まれるように感じるよう、それら箱は、注意深く考えた。

デザインのプロセスは、上のリンクをご覧ください。

例えば2人の役者が、箱のこちら側と向こう側にいると、2つの世界が舞台の上に現れる。

照明が変わると箱のこちら側と向こう側の世界に、舞台が別れる。

これは、昨年、小劇場「新宿タイニイアリス」の創始者で、オーナーである西村博子を追悼して行われた公演。叔母の葬式で出会った劇団アランサムセの方々から舞台美術の依頼を受け、叔母がひいきにしていた劇団のステージを一緒に作れるなんて、なんてラッキーと思い、私は二つ返事で引き受けたというのがことの始まり。

西村博子は私の敬愛する叔母。幼少の頃から型破りの大人が身近にいることで、私は自分の中にいつも未知の可能性を信じられた。久しぶりに挑戦した舞台美術。博子さんが天国から見てくれているといいな。

投稿者:Yumi Kori |  美術の仕事 Art, Stage Design |  記事本文

箕面の森アートウォーク2023が始まりました!

— "Minoh no Mori Art Walk 2023" is in session @ Osaka —




郡裕美が参加する芸術祭《箕面の森アートウォーク2023》が、10月20日より始まりました。 すでに多くの方々が鑑賞してくださっていて、嬉しい限りです。



10月29日(日) 13:30

11月3日(金) 12:00

郡裕美 によるアーティスト・トークが行われます!

作品制作の背景や箕面山瀧安寺という場所のもつ歴史など、参加作品である「EVOCATION」を取り巻く様々な事柄について、郡が説明していきます。

最新の作品の説明は、こちらをご覧ください。
https://www.studio-myu.com/news/archives/6731





EVOCATION

インスタレーション:Yumi Kori / 郡 裕美
制作:大阪工業大学 郡裕美研究室+有志、越智工務店、studio C、mtit、アルテ・アバン、スタジオ宙

会期:2023年10月20日(金)〜11月3日(金)  
時間:10:00〜16:30 (入場は16:00まで)

郡裕美 アーティストトーク:
10月29日(日)13:30~14:30(瀧安寺 境内)
11月3日(金)12:00~ (瀧安寺 境内)



最寄り駅:阪急箕面駅 (梅田駅より阪急電車で30分)
芸術祭の会場:箕面山 瀧安寺 / 聖天宮 西江寺 / 箕面大滝前 / 梅屋敷 / 琴の家
                     阪急箕面駅から大滝への滝道に様々なアーティストの作品が展示されます。

郡裕美 展示会場: 瀧安寺の赤い橋を渡った有料エリア(入館料500円) に設置。
                      瀧安寺は箕面駅より徒歩15分

瀧安寺は、修験道を創始したといわれる役行者が箕面滝で修行をした由来で、658年に建てられました。その客殿と鳳凰閣(武田悟一設計、登録有形文化財)が、芸術祭の会期中は特別公開されます。


投稿者:admin |  お知らせ News, 展覧会情報 Exhibition Info, 美術の仕事 Art, Stage Design, 講演会 Lectures |  記事本文

舞台美術 for 劇団アランサムセ @高田馬場 東京

— Stage Design@Takadanobaba, Tokyo —

10月20日から東京・高田馬場ラビネスト劇場で始まる演劇公演の舞台美術を担当しています。舞台の模型やCGを作りながら様々な検討を重ねています。

舞台は廃墟を思わせるシーンから始まるという脚本。
そこで、コーラケースやありあわせの箱を積み上げるという
シンプルな舞台セットを提案しました。
最初、観客には、単なる廃材置き場にしか思えないのに、
そこに役者が登場し、役者が動き回ることで、

コーラ瓶ケースがステージに見え、
積み上げられた箱の間が門に見え、
その隙間に道が生まれ、
影の向こうに別の場所が見え隠れし
様々な意味や関係性が生まれては消え、
空間や時間の重層性が感じられるといいなと思いました。

朝鮮半島を南北に分断する38度線がテーマの今回の舞台、
箱の隙間にできた道をあえて視覚化することを提案、
すると、ある時は2つの世界を分断する境界線となり、
ある時はこちらと向こうをつなぐ道にみえ、
そしてある時は、それが南北をまたがって流れるイムジン川に見え、
ある時は舞台上のもう一つのステージに見える、、、

役者の動きや光の変化で、
新しい関係性を見出すことを試みれたらいいなと思っています。
今はまだ、試作の段階で、
まだ、これから検討を重ねていき、公演日に向けて更にデザインを発展させていきたいと思います。

お時間、許せば、是非、おいでください。

劇団アランサムセ 結成35周年公演  「노고지리(ノゴジリ)~つばさ~」
◆公演日時:2023年10月20日(金)~22日(日)
20日(金) 19:30~
21日(土) 14:00~ 19:30~
22日(日) 14:00~
◆場所:高田馬場ラビネスト(東京都新宿区西早稲田3-27-4)
◆チケット:当日4,000円 前売3,500円 学割3,000円(全席自由)

◆予約・問い合わせ

✉

aransamse@gmail.com
原作:李仁石 ◆脚色・脚本:金恵玲 ◆演出:金正浩 ◆出演:金恵玲 金順香 金正浩(劇団アランサムセ)     経塚裕弘 盧華順 ※電話番号はフライヤーをご覧ください。

投稿者:admin |  お知らせ News, 美術の仕事 Art, Stage Design |  記事本文

箕面の森アートウォーク2023 に参加します。

— We participate "Minoh no Mori Art Walk 2023" @ Osaka —


2018年の台風被害で大破した箕面山瀧安寺の庫裏(本坊)の跡地にインスタレーションを作ります。庫裏はかつて寺の台所。もともとの建物には越屋根(かまどの上の煙抜き)があり、ここで煮炊きされた食事は長年多くの修験者を支えてきました。タイトルの「EVOCATION」というのは「想起」という意味。今回、その「失われた庫裏の記憶をかたちにする」ことを考えました。

かつて、ここには大屋根の庫裡があり、
はるか元禄の時代より、
多くの修験者たちの食事を賄ってきた。
土間のかまどでは火が絶えず、
木組みが見える高い小屋裏の、
煙抜きから差し込む天光は、
さぞ美しかったに違いない。
5年前の台風でその建物は大破し、
跡形もなく解体された。
時の流れの儚さを受け止めて、
未来につながる確かな記憶を伝えたい。

今秋 10月20日(金)より開催される《箕面の森アートウォーク2023》の正式参加作品です。芸術祭の間は、会場の《瀧安寺》の客殿と鳳凰閣(武田悟一設計、登録有形文化財)もこの特別公開されます。また、会期中は、阪急箕面駅から大滝へと続く滝道にアーティスト達が様々な作品展示をします。

※ 芸術祭への出展に伴い、郡が教鞭をとる大阪工業大学空間デザイン学科の郡研究室が中心となって、10月13日作品制作に伴う建築ワークショップを行います。詳細は《こちら》.

EVOCATION / 想起 

会期:2023年10月20日(金)〜11月3日(金)  
時間:10:00〜16:30 (入場は16:00まで)
会場:箕面山 瀧安寺 境内 (入館料500円)
最寄り駅:阪急箕面駅 (梅田駅より阪急電車で30分) ※瀧安寺は箕面駅より徒歩約15分
制作:大阪工業大学 郡裕美研究室+有志、越智工務店、スタジオ宙、studio C、mtit


さて、今回のアートプロジェクトの背景を紹介します。

《瀧安寺》は、修験道を創始したとされる役行者が箕面滝で修行をし、滝のそばに自ら弁財天の像を祭祀して箕面寺(のちの瀧安寺)と称したことを起源とする。山岳の道場として多くの修験者を受け入れることで発展し、現在に至る。今も多くの修験者がここを訪れる。

瀧安寺 の客殿と庫裏跡地を本堂側から箕面川ごしに見る。
台風被害前の庫裏の外観写真 : 庫裏は寺の台所。大屋根には越屋根(かまどの上にある煙抜き)があ利、土間と空をつないでいた。
台風被害前の庫裏の鳥瞰写真: 客殿とつながって庫裡(台所・本坊)があり、越屋根(かまどの煙抜き) が見える。

その際、お寺の台所として瀧安寺の重要な役割を果たしていたのがこの庫裏である。外観を特徴づけている越屋根の下の土間には大きなかまどがあり、そこで煮炊きされた食事は修験者に供されてきた。しかし2018年に発生した台風21号によって倒れたケヤキの巨木が庫裏に直撃したことで、大屋根が陥没し、建物は大破する。

台風被害後(大破した庫裏の撤去工事中)鳥瞰写真
庫裏の跡地が空き地になっている現在の鳥瞰写真

古来から食を施して修験者を支えるという重要な役割を担っていた庫裏。
その記憶をかたちにするサイトスペシフィックな作品を作りたいと思った。

江戸時代に描かれた箕面瀧安寺の鳥瞰図 『摂津名所図会』


最寄り駅:阪急箕面駅 (梅田駅より阪急電車で30分)
  ※瀧安寺は箕面駅より徒歩15分
箕面は、大阪梅田から電車で30分とは思えない自然あふれる場所。秋の箕面山とアートを楽しみに、是非おいでください。箕面ビールも有名です!

右は箕面大滝の写真です。秋の美しい箕面の自然を楽しむついでに是非おいでください!


投稿者:admin |  お知らせ News, 展覧会情報 Exhibition Info, 美術の仕事 Art, Stage Design |  記事本文

【参加者募集中!】記憶の建築を作るワークショップ @箕面山瀧安寺 大阪 

— Building Workshop @Minoh, Osaka —

2018年の台風で失われた箕面山 瀧安寺の庫裏(くり)の、
建築の記憶をカタチにするインスタレーション作品を作ります。

これに合わせ、大阪工業大学空間デザイン学科の郡裕美研究室が、
「失われた記憶をカタチにする」建築ワークショップを行います。

空間アートや建築に興味がある皆さん、一緒にアート制作を楽しんでみませんか??

年齢不問、未経験大歓迎です。多くの方々参加をお待ちしています。

ワークショップの詳細・参加申し込みはこちらから!

建築のプロに指導してもらいながら、実物サイズの建築を建てるワークショップです。

土を掘って柱を建てる。
木を組んで小屋を作る。
壁を作って空間を生み出す。
石をおいて領域を作る。

建築を学生にとっては、授業では学べない建築のリアルに触れて、
設計力、デザイン力を伸ばす貴重な機会になるはずです。

ぜひ参加ください!

本作品は芸術祭 「箕面の森アートウォーク2023」の公式参加作品です。
(会期:10/20(金)〜11/3(金)  時間:10:00〜17:00 )

今回作る予定の作品の詳細についてはこちらで紹介しています。

投稿者:admin |  お知らせ News, 美術の仕事 Art, Stage Design |  記事本文

7/19 郡裕美 × 長澤伸穂 特別レクチャー&懇親会

— Talk session with Nobuho Nagasawa @Semba Osaka —

特別レクチャー&懇親会のご案内です。今回、世界各地の建築や人々と関わりながら制作をしているニューヨーク在住の美術家、長澤伸穂氏をお招きし、建築と都市とアートの融合、その可能性について広く考える機会を持ちたいと思います。

其々の土地の文化の歴史や記憶を深く研究して生まれる長澤氏の作品は、サイトスペシフィック、かつコミュニティ・レスポンシヴで、彼女のソーシャリー・エンゲージド・アートやパブリックアートは日本、アメリカ、南米、ヨーロッパ、アフリカ、中近東などで発表され、国内外で多くの受賞歴があります。

このレクチャーは、現在、モデレーターである郡裕美が取り組んでいる「現代美術家の建築設計への参画プロセスとその効果に関する研究」の活動の一環です。近年、国内外の現代美術家が建築の制作過程に積極的に参画する例が多く見られるようになり、その結果、建築とアートが融合した新しい建築デザインの潮流が生まれています。建築設計への美術家の関わりについて研究することで、芸術表現のプラットフォームとしての建築デザインの可能性を探りたいと考えます。また、この講演会、意見交換懇親会を通して、コロナ後に求められる新しい環境、新しい豊かさについて、参加者の方々とともに考える機会になればと思います。

今回の会場である船場エクセルビルは、一昨年より、船場アートサイト、関西国際芸術祭の会場として使われ、中船場地区でのアートの発信地として認知されてきました。また、昨年オープンしたナカセンバカフェは、既成概念に囚われず自由な発想を生み出す「反重力カフェ」という愛称で、地域の人々やアート関係者の交流の場として機能しています。今回、2階で講演会を行ったあと、参加希望者の方々との自由な交流を通して、アートをキーワードに、中船場地区の新しい豊さに関して考えられればと希望しています。

『When Architecture Meets Art』

建築とアートの融合を実践的に研究する 特別レクチャー & 懇親会/意見交換会

〇レクチャー
2023年7月19日(水)
 (定員:40名)
6:00 PM 開場
6:30-7:50 PM 開演
船場エクセルビル2階
会費 1000円 (学生 無料)

〇懇親会/意見交換会 (定員:30名)
2023年7月19日(水) 
8:00-9:30 PM
船場エクセルビル1階 反重力 ナカセンバカフェ
会費 3500円 (学生 2000円)
懇親会では、飲物と軽食を片手に、来場者の方々との意見交換を通し、
テーマについてさらに深く考えられればと思います。

予約はこちら https://semba-nagasawa.peatix.com
会費は当日、現地にて現金でのお支払いをお願いします
(お釣りのないように現金を用意いただけると幸いです。)
キャンセルの場合は必ず okumura@studio-myu.com までご連絡をお願いします。

主催:大阪工業大学   郡 裕美 研究室
特別レクチャー会場提供:辰野株式会社
運営協力:株式会社 スタジオ宙

投稿者:Okumura |  お知らせ News, 美術の仕事 Art, Stage Design, 講演会 Lectures |  記事本文

BORDER / 郡裕美展 開催中

— Yumi Kori installation" BORDER " just opened @+1art gallery in Osaka —

試作を重ね、郡裕美が新しいインスタレーション作品を制作しました。
会期は2月12日の日曜日までです。

ギャラリーは大阪城の外堀跡、空堀にあります。
今はレトロな商店街が有名な素敵な場所です。
空堀の町散策も兼ねて是非お越しください。

Border / 郡裕美展  
会期: 1/25(水) ー 2/12(日) 12~ 7pm
     月・火・日は休廊 ( 2/12は開廊~5pm)
会場: +1 art     大阪市中央区谷町6−4−40
                       地下鉄 谷町六丁目駅 4出口1分

展覧会の詳細は  www.plus1art.jp

「BORDER」作品説明

昨年の夏、ブラジルの小島に滞在した。
どこまでも続く空と海を全身で感じたくて、毎朝、日の出前に起きて海岸で瞑想をした。大きく息を吸い込むと朝の空気が私の体を満たし、ふーっと息を吐くとさっきまで体の一部だった空気は再び大気へ返っていく。
太陽が昇ると静かな海に入る。身体の境界が溶けて海水と一体化していく。

砂浜には波の形が映されて砂紋ができ、浜に棲む数々の生物の生命の跡が残る。
私は足元に落ちていた貝殻を拾い、砂の上に線を描いてみる。
朝日の鋭角の光が深い影を作り、世界をあちらとこちらに分ける境界線になり、
同時に私の生きた跡にも見えた。
その境界線にまたがると、2つに分けられた世界が一つになった。
日が昇りきると、砂の上の線は満ち潮のなかにすっかり消えていた。

初めて砂浜に線画を描いた朝、母が危篤だという連絡が届いた。
飛行機の予約が取れるまで、私は毎日、母のことを思いながら海岸に線を描いた。
現れたり消えたりする境界/BORDERをテーマにした作品を作りたいと思った。

2023/01/25 郡 裕美

投稿者:Okumura |  展覧会情報 Exhibition Info, 美術の仕事 Art, Stage Design |  記事本文

次のページ »