スタジオ宙

House of shadows

建主は、日常の次元を越えて静寂の時間に身を浸すことを夢見た。私たちは、光と影を楽しみながら回遊できる住まいを提案した。霞ガラスに滲んだ光、水庭を走る風の気配、テラスに映る木漏れ陽、影のしみ込む敷瓦。前庭からホワイエ、居間から2階へ。そして再びテラスに戻る。この家は、回遊でき、突き当たりがない。建築は、そこで体験した数々の印象をつないでできる終わりのない音楽になる。「風流は寒きものなり」という言に従わず、この家では、OMソーラーシステムで太陽熱を享受している。高窓の格子は、部屋に入り込む夏の日射を制限し、冬は家の中深くまで光を誘導する。陰影礼賛の世界に太陽の暖かさを持ち込んだ。

東京都
木造 2階 OMソーラー 延床129.38m²
写真/スタジオ宙